WMSを比較検討していると、「引当シミュレーション機能あり」という言葉を見かけることがあります。便利そうな響きですが、実際にどこまでのことをしてくれる機能なのかは、製品によってかなり違います。
この記事では、多くのWMSが「引当シミュレーション」と呼ぶ機能の実態と、ゼータロジがこの機能を2025年に実装するに至った経緯、そしてその先に見ている「引当予測」という考え方をご紹介します。
「引当シミュレーション」という言葉が指すもの
「引当シミュレーション」を名乗る機能を持つWMSは他にもありますが、その多くは当日時点の在庫で、今ある未処理の注文に欠品が出るかどうかを確認するという範囲にとどまっています。
これはこれで十分に価値のある機能です。出荷作業に取りかかる前に欠品の有無がわかれば、現場の混乱を減らせます。
ただし、あくまで「今日」という一時点の話です。数日先、来週の出荷予定に対して、今の在庫や入荷予定を踏まえたときにどうなるかまでは見えない、という製品がほとんどです。
ゼータロジには、実は2013年時点で近い機能があった
ゼータロジには、2013年の時点で出荷伝票に対する事前の欠品確認機能がありました(この機能は、その後の仕組みの変更にともない廃止しています)。
当時から「出荷処理に取りかかる前に、欠品の有無を知りたい」というニーズ自体は存在していたということです。引当シミュレーションという発想は、決して目新しいものではありません。
むしろ問題は、その先にありました。欠品がわかったとして、その情報をどう業務に活かすか、という部分です。
引当処理は、やり直しがきく「軽い処理」ではない
実際の引当処理は、想像以上に時間のかかる処理です。出荷件数が数百件、数千件という規模になると、1回の引当に一定の時間がかかり、欠品が出てから「条件を変えてもう一度」とやり直すのは現場にとって非効率です。件数が多い通販事業者様ほど、この影響は大きくなります。
だからこそ、引当を実行する前に結果を見通せることには意味があります。ただし、それには「シミュレーションの結果」と「実際の引当結果」が一致していなければなりません。ここを作り込むこと自体、簡単な話ではありませんでした。
2025年、引当シミュレーション機能を実装した理由
ゼータロジで引当シミュレーション機能を実装した直接のきっかけは、「引当保留」と「取り置き」という、2つのニーズに応えるためでした。
例えば、予約商材や入荷が不確実な商品を扱うBtoCの通販事業者様(ここではC社とします)では、出荷時に欠品が発生することが珍しくありません。欠品分を除いて先に出荷できる商品だけを取り置き、欠品分はメーカーへの発注や再入荷を待って改めて出荷する、という運用が必要になります。
あるいは、電話やFAXでの受注が中心で在庫を見せずに注文を受けているBtoBの通販事業者様(N社とします)では、在庫が足りない注文を受けてしまうこと自体が日常的に起こります。この場合も、注文のうち「出せるもの」と「出せないもの」を早い段階で切り分けたいというニーズがあります。
どちらのケースにも共通しているのは、「欠品が起きてから慌てて対処する」のではなく、「欠品が起きることを事前に把握したうえで、出荷できる分とできない分を仕分けておきたい」という要望です。引当シミュレーションは、この仕分けを行うための土台として実装されました。
ゼータロジの引当シミュレーションが目指しているのは「引当予測」
ここまでの経緯からもわかるとおり、ゼータロジの引当シミュレーションは、単に「今日、欠品が出るかどうかをチェックする」機能ではありません。
特定の未来日時点で注文に対して在庫が引き当てられるかどうかを、あらかじめ予測すること。これがこの機能の本質です。「シミュレーション」という言葉よりも、「引当予測」と呼んだほうが実態に近いかもしれません。
もちろん、将来的には入荷予定を加味した「未来の在庫」も含めたシミュレーションへと発展させていく構想がありますが、目指している方向は一貫しています。それは、出荷という結果が出る前に、その結果を見通せるようにすることです。
まとめ
「引当シミュレーション機能あり」という表記だけで比較するのではなく、その機能が「今日の欠品確認」にとどまるのか、それとも「先の見通しを立てるための予測」なのかを確認してみてください。出荷件数が多い通販事業者様ほど、その違いが現場の負担に直結します。
ゼータロジの引当シミュレーションは、欠品確認の先にある「引当保留」「取り置き」という実務のニーズから生まれた機能です。今後もこうした現場の声を起点に、機能を育てていきたいと考えています。
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