物流の現場では、「引当」という言葉が頻繁に使われます。
今回は在庫の引当について少し詳しく見ていきましょう。
引当とは何か?
引当とは、お客様から受けた注文を出荷するときに、その注文に必要な商品の在庫を保管場所から探し出して、必要な数量を確保する行為のことです。確保された商品の在庫は、他の注文の対象にならないようにします。
引当は通常、在庫管理システムで自動的に行われます。台帳やExcelで・・・という例を入れているネット記事を見かけたりもしますが、ごく小規模の商売でもない限り現実的ではないでしょう。
引当の重要性
顧客満足度の向上:引当により、顧客の注文に応じて商品を迅速に確保できます。これは、顧客が期待する納期を守る上で非常に重要で、顧客満足度を大きく向上させることができます。
在庫の正確な管理:引当機能を持つ在庫管理システムを導入することで、在庫状況をリアルタイムで正確に把握し、過剰在庫や在庫不足を防ぐことができます。また、最も大きな問題となる誤出荷や欠品を未然に防ぐという意味でも大きな役割を担います。
効率的な運営:自動化された引当プロセスは、注文処理の時間を大幅に短縮し、ミスを減らします。これにより、運営コストの削減と、ビジネスの効率化を実現できます。
引当に求められる条件
在庫の引当は通常、在庫管理システムによってほとんど自動で行われます。
引当に求められる最も重要な要素は、正確性とピッキング効率です。
在庫管理システムが行っている引当では、様々な条件を考慮しながら最適な在庫を割り出しています。
たとえば、次のようなものがあります。
- ロケーション(倉庫の棚番号、どこに保存されているか)
- 賞味期限(使用期限)による出荷期限の考慮
- ロット番号など
- 入荷日(先入れ先出しのための基準日)
- セット商品の分解
- ケースと単品の考慮
- ノベルティなどの付属商品の確保
これらを考慮しながら、その注文に対する正確な商品在庫を確保する必要があります。
また、高度な物流在庫管理システムでは、個別に引当戦略を指定することもできます。
通常、在庫の引当は1日に1回〜数回に分けて行いますが、1回当たりの注文処理量は100〜1000件以上です。
引当では大量の注文に対して、それぞれに正確な在庫を探し出して確保するとともに、後続のピッキングが効率的に行えるように判断する必要があります。
たとえば一つの注文に対する商品が倉庫内の離れた場所に散在している場合、単純に引当を行うとピッキング担当者は離れた場所を移動する必要が出てきます。できるだけ移動距離が少なくなるように近いロケ(または同一のロケ)にある商品を優先的に確保するなどの戦略を採ることで、ピッキング効率は劇的に変わります。
EC事業において、在庫管理システムの導入は、単に在庫を管理するだけではなく、ビジネスの成長を加速させるための戦略的投資です。引当機能を備えた在庫管理システムを活用することで、顧客満足度の向上、在庫コストの削減、運営の効率化を実現し、競争の激しいEC市場での成功を確実なものにすることができます。
今こそ、在庫管理システムの導入を真剣に検討し、ビジネスの将来を見据えた一歩を踏み出しましょう。
コメント