在庫管理は資金繰りの問題|過剰在庫と欠品のあいだ

在庫は、形を変えた現金です。

仕入れた時点で支払いが発生し、売れるまで会社の外に出ていきません。つまり在庫管理は、倉庫の中の作業効率の話であると同時に、資金繰りの話でもあります。

この記事では、在庫と資金の関係を整理します。

過剰在庫と欠品、どちらも損失です

在庫は、多すぎても少なすぎても損をします。

多すぎる場合

  • 仕入れ代金を先に払い、回収が遅れる(資金が寝ます)
  • 保管スペースを圧迫し、他の商品を置けなくなります
  • 季節商材や流行品は、時間とともに価値が下がります
  • 数が多いほど、棚卸や管理の手間が増えます

少なすぎる場合

  • 売れるはずの注文を逃します
  • 「在庫がありません」という連絡は、信用を損ないます
  • 広告費をかけて集客した直後の欠品は、損失が二重になります
  • 急ぎの仕入れは、単価も送料も高くつきます

やっかいなのは、この2つが同時に起きることです。売れない商品が棚を占領し、売れる商品が欠品している。多くの倉庫で見られる状態です。

判断を狂わせているのは「見えないこと」

過剰在庫も欠品も、原因は同じです。いま何がいくつあるかが見えていないことです。

見えていなければ、判断は安全側に倒れます。「たぶん足りないから、多めに発注しておこう」。この積み重ねが過剰在庫を生みます。

逆に、あるはずの在庫が見つからなければ、欠品として処理されます。実在しているのに売れない在庫が生まれるわけです。

「有効在庫」で判断する

発注の判断で見るべきなのは、単純な在庫数ではありません。

実在庫 − 出荷待ち(引当済み) = 有効在庫

棚に100個あっても、そのうち80個が今日出荷される注文に割り当てられているなら、いま自由に使えるのは20個です。この数字を見ずに「100個ある」と判断すると、売り越しが起こります。

WMSを導入すると、この有効在庫が常に計算された状態になります。数えなくても、引き算をしなくても、いま使える数が分かります。

数字が揃うと、判断ができるようになる

在庫の記録が正確になると、これまで感覚で判断していたことが数字で判断できるようになります。

  • どの商品が何日分の在庫か……出荷実績から算出できます
  • どの商品が滞留しているか……最終出荷日から判断できます
  • いつ発注すべきか……リードタイムと出荷ペースから逆算できます
  • どの棚が売れ筋か……ロケーションの配置見直しに使えます

ゼータロジには滞留商品を抽出する機能があり、動いていない在庫を見つけられます。棚を占領している資金を、目に見える形にするということです。

まず、正確にすることから

需要予測や適正在庫の計算は、その先の話です。土台となる在庫データが正確でなければ、どんな計算をしても答えは合いません。

順序としては、次のようになります。

  1. 棚に住所を与え、どこに何があるかを確定させる
  2. 入荷と出荷をバーコードで記録し、数字を正確にする
  3. 有効在庫を見ながら発注する
  4. 滞留と欠品の傾向を見て、仕入れを調整する

1と2ができていれば、3と4は自然にできるようになります。逆に1と2を飛ばして分析だけを始めても、精度は上がりません。

在庫回転率という見方

在庫と資金の関係を数字で見るとき、よく使われるのが在庫回転率です。

ざっくりいえば、仕入れた在庫が何日で売れているかを表します。30日分の在庫を常に抱えているのか、7日分で回しているのか。同じ売上でも、必要な運転資金がまったく違います。

全体の平均だけを見ても改善点は分かりません。商品ごとに見ると、次のような差が見えてきます。

  • よく動く商品……在庫を厚めに持っても資金は寝ません。欠品のほうが損失になります
  • ゆっくり動く商品……在庫を絞り、必要なときに発注する形にします
  • まったく動いていない商品……値引きしてでも現金に戻すことを検討します

この判断をするには、商品ごとの出荷実績と最終出荷日が記録されている必要があります。在庫管理が正確になると、仕入れの判断材料が自動的に手に入るということでもあります。

棚の場所も、資金の話につながります

動いていない在庫が、出入口に近い一等地の棚を占領している。倉庫を見せていただくと、よくある光景です。

保管スペースには限りがあり、家賃という形で費用が発生しています。売れる商品を取りやすい場所に置き、動かない商品を奥へ移すだけでも、作業時間とスペースの両方が改善します。

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