在庫管理・発送管理業務で毎日胃を痛めているみなさん、こんにちは。
「かんたんWMS」広報の中の人です。
本日は、わたしが実際に体験した、黒歴史在庫管理の日常をお届けします。
コンピューターで管理できる人
平成に入ってもう22年も過ぎようとする頃、わたしはとある製造会社に居りました。
某超有名国際的メーカーの下請け製造会社は、地方の過疎地の山奥にありまして、雪が降ると橋が渡れるか渡れないかをドキドキしながら車を走らせ「橋が豪雪で埋まって行けません」と電話すると「雪を掻き分けて絶対来い」ってことを平気で言う社長とその家族と親族と遠い親族と地元のパートさんで動いている会社です。
「製品部品の在庫がめちゃくちゃなので、コンピューターで管理できる人」という募集要項で、「(コンピューターってなんだよ…)」という一抹の不安を覚えながら、面接を受けたら即入社。
次の日から、現状把握と作業開始となりました。
正の字で在庫を管理する人々
初日から帰りたくなった理由は、在庫表として渡されたのがKOKUYOのノートに鉛筆書き。
使った数は、担当者の机にチラシの裏に書いてあるって言います。
「これなんの記号ですか?」「こんなのもわからんのかい。正の字は5って教わらなかったのかい」
正の字で管理かよっ!!
自分のところで加工した部品を一つ仕上げるたびに1本線を引いて、その日の就業時間にノートにある在庫から引き算して書いていくという方法。
「数字読めねえ…」
書いた本人も読めない場合が多く、しかも引き算間違えてたり。
中に、明らかに在庫が違うものがあって、倉庫を見に行くとやはり在庫数の半分くらいしかない様子。
倉庫が4つあるのですが(しかも場所がバラバラでカテゴリ分けもされていないので全て勘で動くらしい)、4つの倉庫を探し回ってもあと半分が見当たらない。諦めかけたら、棚の後ろに廃棄用の箱に入れられて落っこちていました。
一事が万事こんな調子なので、全ての部品の数を正式に洗い直して把握し、部品を製品にした数の正確な記載を、パートさん及び親族にお願いするところからはじまりです。
監査がやって来る!
いきなりエクセルの画面に数字を打ち込むことをお願いしても、かたくなに「嫌だよ面倒臭い。これで50年やってきたんだから」って大奥様(社長のお母様)のひとことで却下されたので、正の字は継続してわたしがそれを就業時間にまとめて入力することに。
しかし、どうしても合いません。
「あの、不良品とかどうされてます?」
「廃棄するよ」
「その数字記載してます?」
「してないよ?だってまだここにあるんだから、数字は減らないでしょ」
そうじゃないだろ。ってか、見た目かよ。製品にならないものを製品になるものと一緒にしてどうするよ。
と思っても、「いままでそうしてたんだから!」と聞いちゃいないので、こちらもわたしが廃棄用の箱から取り出して数えて入力することに。
そんな矢先に、「メーカーから監査がやってくる。なんとかしろ(無茶ぶり)」。
あまりにも納期遅れと不良品が多いので、どういう作業と管理をしているのか、監査がくることになってしまったのです。
やばい。在庫数字と実存在庫がものすごく合っていない。不明実存在庫が少なすぎる。
というわけで、不明実存在庫の発掘へと、4つの倉庫へ出発せねばなりません。
倉庫にない在庫は大奥様の寝室に
監査にやってくるというのに、4つの倉庫からは何も発掘されません。
いよいよまずいとなった頃、倉庫ではなく配送車に放置してあったり担当者の引き出しから出してきたり、検査測定器の上に無造作に積んであったのを思い出してみたり、工場長兼社長が鋳造機械の横に山積みにしたままなのを発見したり、気が狂いそうになる状況にももはや驚かなくなってきた矢先、鋳造機械が爆発して(釜が割れた)、会社が休みになってしまいました。
「この休みを利用して静かに集中して在庫を探そう」(鋳造機械は工場にあるので、倉庫や事務所、検査室は無事)
と、機械が爆発してアルミが流れ出して、村の消防団では足りず隣町の消防団もやってくるという大事件にも動じることもなく、会社に行ってみると、大奥様がハイエースで乗り付けてきました。
「あんた、これとあれの在庫ないって叫んどったなあ」
「はい。どこ探してもないし、出荷履歴見ても出してないですし、鋳造の記録はありますし、探そうと思って来たんですが」
「あったよ」
「よかった!どこっすか??」
「わしの寝所の押入れにあった」
「なんで自分んちに持って帰ってんすか!!!???」
しかし驚くべき現状は、まだまだこんなものじゃなかったのです。
つづく!!
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