メールも、カレンダーも、表計算も、いまはブラウザで使えます。データは手元のパソコンではなくサーバーに置かれ、どこからでも取り出せます。
業務システムも同じ流れの中にあります。倉庫管理システムも、かつては自社にサーバーを置いて動かすものでしたが、いまはクラウドで提供されるものが主流になりました。
この記事では、業務用のクラウドサービスを選ぶときに確認しておきたい点を整理します。
クラウドとは、どこにあるか意識しないということ
クラウドは「雲」の意味です。ネットワークのどこにあるのか分からない、という感覚からついた名称だといわれています。
実際にはサービス提供者が管理するサーバーがあり、利用者はネットワーク経由でそこにアクセスしています。GmailやGoogleカレンダーも、意識せずに使っているクラウドサービスです。
特別なものではなく、すでに日常的に使っている仕組みだとお考えください。
自社サーバーとの違い
従来は、社内にサーバーを置き、そこにソフトを入れて使うのが一般的でした。20年から30年前までは、これが当たり前の形です。
この方式には、次の負担がついてきます。
- サーバー本体の購入費用と、数年ごとの入れ替え
- OSやミドルウェアの更新作業
- バックアップの運用
- 故障したときの対応(その間、業務は止まります)
- これらを担当できる人員の確保
クラウドであれば、これらは提供側が担います。利用者は月額料金を払って使うだけです。効率化のために導入したシステムを維持するために人を増やすという事態を避けられます。
また、機能の更新が自動的に反映されるため、常に最新の状態で使えます。
選ぶときに確認したい5つの点
1.料金体系が従量課金かどうか
業務用のクラウドサービスには、使用量に応じて料金が変わるものがあります。倉庫管理システムであれば、出荷件数やユーザーID数による課金です。
従量課金が悪いわけではありません。小規模なうちは、そのほうが安く済むこともあります。ただし繁忙期の請求額と、事業が伸びたときの金額を試算しておくことは必要です。
固定費として管理したい場合は、定額のサービスを選ぶことになります。
2.データを取り出せるか
クラウドではデータが提供側のサーバーにあります。解約するときに自社のデータをどう取り出せるのかは、契約前に確認しておきたい点です。
CSVでエクスポートできるか、費用がかかるか、対応してもらえる期間はいつまでか。始めるときより、やめるときの条件のほうが差が出ます。
3.他のシステムと連携できるか
1つのサービスで業務が完結することは、まずありません。受注管理、在庫管理、会計、送り状発行。それぞれの得意分野があります。
連携方法がAPIかCSVか、そしてCSVの形式を自社に合わせられるかを確認しておくと、選択肢が広がります。「対応システム一覧」に自社のツール名がなくても、CSVで柔軟に対応できれば問題にならないことが多くあります。
4.サポートの窓口と範囲
問い合わせ先が開発元なのか販売代理店なのか。操作の質問と障害の連絡で窓口が分かれていないか。上位の契約プランでないと対応してもらえない範囲があるか。
業務システムは、使い始めてから質問が増えるものです。その質問に誰が答えるのかは、料金と同じくらい重要な条件です。
5.ネットワークが止まったときの運用
クラウドである以上、インターネット接続が前提になります。倉庫のネットワーク環境が不安定な場合は、そこから整える必要があります。
以前は光回線の引き込み工事から始める必要がありましたが、いまはモバイルルーターでも運用できます。ただし端末台数や出荷量によって必要な安定性は変わります。
試せるかどうかが、いちばんの分かれ目
クラウドサービスの利点は、導入のハードルが低いことです。サーバーを買う必要がないため、合わなければやめられます。
この利点を活かすには、実際の業務データを入れて、現場の方に触ってもらうことが最も確実です。デモの画面を見るだけでは、日々の作業に耐えるかどうかは分かりません。
無料で試せる期間があるか、その間にどこまでの機能を使えるか、試用したデータを本番に引き継げるか。この3点を確認しておくと、比較検討が進めやすくなります。
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