WMSを運用するときに課題になるのが、データの受け渡し方法です。
自社の中だけで完結しているなら不要ですが、多くの場合、通販事業者と倉庫会社、あるいは本社と物流拠点のように、データを送り合う工程が発生します。
この記事では、Dropboxを使ったデータ受け渡しの実務と、運用するうえでの注意点をご紹介します。
メール添付には、限界があります
少し前まで、データの受け渡しといえばメール添付でした。手軽で、追加のツールも要りません。
ただ、現在の環境では次の問題があります。
- 誤送信のリスク……宛先を間違えれば、取引先の情報が第三者に渡ります
- 受信側の制限……添付ファイルの受信を制限している企業が増えています
- 容量の上限……件数の多いCSVは、送れないことがあります
- 履歴が追いにくい……最新版がどのメールか分からなくなります
自社サーバーやFTPを使う方法もありますが、こちらは運用経費と専門知識が必要になります。
Dropboxを使う
Dropboxはクラウド上のファイル保管サービスです。無料で始められ、一定容量までは費用がかかりません。
特に便利なのがフォルダ共有です。共有したフォルダは、双方のパソコンから普通のフォルダとして見えます。ファイルを置けば相手側にも現れ、相手が置いたファイルは自分のパソコンに現れます。
操作としては、フォルダにファイルをコピーするだけ。特別な手順を覚える必要がありません。
パソコンの機種やOSに依存せず、インターネット環境があればどこからでもアクセスできます。
フォルダ構成の作り方
運用を始める前に、フォルダの構成を決めておくと混乱しません。よく使われるのは次の形です。
- 受信用……相手からデータを置いてもらうフォルダ
- 送信用……こちらからデータを渡すフォルダ
- 処理済み……取り込みが終わったファイルを移動する先
- 過去分……月ごとなどでまとめて保管する場所
受信用フォルダに未処理のファイルだけが残る状態にしておくと、「取り込み忘れ」が目で見て分かります。
ファイル名のルールを決める
同じ名前のファイルを置くと上書きされます。前のデータが消えてしまうため、日付や連番を含める規則にしておきます。
例:shipment_20260817_01.csv
日付が先頭に近い位置にあると、フォルダ内で自然に時系列に並びます。あとから探すときに効いてきます。
注意しておきたいこと
個人アカウントを業務に使わない
担当者の個人アカウントで共有していると、その方が退職したときにアクセスできなくなります。会社として管理するアカウントを用意してください。
共有相手を定期的に確認する
取引が終わった相手や、異動した担当者が共有先に残っていないか。半年に一度でも確認する運用にしておくと安心です。
同期のタイミングを理解しておく
ファイルが相手側に反映されるまでには、わずかながら時間差があります。「置いたのに見えない」という場合は、同期の完了を待ってから確認してください。
取り込み前のファイルを編集しない
共有フォルダのCSVをExcelで開いて保存すると、書式が変わることがあります。特にJANコードのような長い数字は、指数表記になったり先頭のゼロが消えたりします。
この現象への対処は、バーコードラベルの作り方で詳しくご説明しています。
ゼータロジからの出力先に指定できます
ゼータロジでは、在庫データのCSV出力先としてDropboxを指定できます。出力したファイルがそのまま共有フォルダに入るため、受け渡しのために別の操作をする必要がありません。
相手先は、いつものフォルダを開くだけで受け取れます。相手に新しい仕組みの導入をお願いしなくてよいという点が、この方法のいちばんの利点です。
Dropbox以外の選択肢
同じ発想のサービスは他にもあります。すでに社内で使っているものがあれば、それを使うのが自然です。
- Google ドライブ……Googleアカウントをお使いの企業であれば導入が容易です
- OneDrive……Microsoft 365を契約していれば追加費用なしで使えます
- box……アクセス権の細かい設定や監査ログが必要な場合に向いています
大切なのは、どのサービスを使うかよりも、相手先と自社の両方が無理なく扱える方法を選ぶことです。相手に新しいツールの導入をお願いする形では、運用が続きません。
セキュリティ面で決めておくこと
共有フォルダには、出荷先の氏名や住所が含まれるファイルが置かれることがあります。取り扱いのルールを決めておいてください。
- 共有するのはフォルダ単位にし、必要な範囲に限定する
- URLリンクでの共有は、期限とパスワードを設定する
- 個人情報を含むファイルは、一定期間で削除する運用にする
- 退職・異動時のアクセス権見直しを、手順に組み込んでおく
メール添付と比べれば、共有フォルダのほうが誤送信のリスクは低くなります。ただしアクセス権の管理を怠ると、別の形でリスクが生まれます。
