自社物流の立ち上げをサポートする西本です。
このページをご覧の方は、ネットショップの在庫を抱えていて、棚卸しのたびに出荷を1〜2日止めて、倉庫にこもって商品を数えている。そんな方ではないでしょうか。
皆さん口を揃えて「棚卸しはしんどい」とおっしゃいます。私も長年、物流の現場でそれを見てきました。この記事では、ネットショップの棚卸しの基本手順を整理した上で、「出荷を止めずに棚卸しを日常業務にしてしまう」という発想の効率化を紹介します。
ネットショップの棚卸しとは?何のためにやるのか
棚卸しとは、倉庫にある商品の数を実際に数えて、帳簿上の在庫(管理在庫)と一致させる作業です。目的は大きく2つあります。
ひとつは決算のため。期末の在庫金額は売上原価に直結するので、税務上、実地棚卸しは避けて通れません。もうひとつは日々の運営のためです。帳簿と実在庫がズレたまま販売を続けると、「在庫があるはずなのに商品が見つからない」「売れたのに在庫が引き当たらない」といったトラブルが起き、欠品・誤出荷・機会損失につながります。
ネットショップの場合、実店舗と違って「在庫データ=店頭」です。モールやカートの在庫数が現物とズレていれば、売れるはずのものが売れず、無いものが売れてしまう。棚卸しの精度が、そのまま売上と評価に響きます。
棚卸しの基本手順(3ステップ)
ステップ1:準備。棚卸しの対象範囲と日時を決め、入荷・出荷・返品の処理を締めます。倉庫のロケーション(棚番)が整理されていること、商品にバーコードなど識別手段があることが、後の作業スピードを大きく左右します。(棚番の整備がまだの方は「棚番とは?決め方とバーコードシールをExcelで自作する方法」を先にどうぞ)
ステップ2:実査(カウント)。実際に数えます。紙のリストと目視で数える方法と、ハンディターミナルやスマホでバーコードをスキャンして数える方法があります。スキャン方式なら「数え間違い」「転記ミス」がほぼなくなり、作業時間も大幅に短縮できます。
ステップ3:差異の処理。実査結果と帳簿在庫を突き合わせ、差異の原因(誤出荷・入力漏れ・破損・紛失など)を確認して在庫データを補正します。差異の傾向を記録しておくと、日々の運用のどこにミスが潜んでいるかが見えてきます。
なぜ棚卸しはこんなにしんどいのか
突然ですが、自動車の機能の中で、昔から大きく進化していない部分をご存知ですか?
エンジンは電気に置き換わり、マフラーは不要になり、ドアミラーですらカメラになる時代です。それでも変わっていないのが、ワイパーなんです。どんなに車が高性能になっても、ワイパーの構造だけは変わらない。
在庫管理の世界にも同じものがあります。それが棚卸しです。システムがどれだけ進化しても、「倉庫の商品を実際に数える」という作業自体はなくなりません。
そして棚卸しがしんどい本当の理由は、それが「年に一度の儀式」になっているからです。一年分のズレを一気に精算しようとするから、出荷を止め、数日倉庫にこもる大仕事になるのです。
世の中には棚卸し代行業者というサービスもあります。コンビニのように店を閉められない業態では、プロが深夜に人海戦術で一気に数え上げてくれます。正確で速い。ただし、それなりの費用がかかります(なにしろ人海戦術で、しかも夜中ですから)。
発想の転換:「出荷を止めない部分棚卸し(循環棚卸し)」
それなら、日頃から在庫の狂いがない状態を保っておけばいいのでは?
「そんな簡単にできるはずがない」と思われた方。それができるのです。
やり方は「部分棚卸し」です。一般には循環棚卸し(サイクルカウント)とも呼ばれる方法です。倉庫全体を一度に数えるのではなく、ロケーション(棚)単位で少しずつ、日常の合間に数えていきます。
例えば、倉庫にロケA、B、C、Dの4つの棚があるとします。今日の受注を引き当てた結果、AとCの商品には出荷予定がかかっているが、BとDはフリーだったとします。この場合、BとDだけを指定して棚卸しすれば、出荷作業と並行して棚卸しが進められるわけです。
これを毎日少しずつ回していけば、「日常的に、限りなく在庫誤差がない状態」が保てます。年に一度の大精算が、単なる確認作業に変わるのです。
実例:シーズン商品を扱うアパレルの場合
アパレルでよくあるのが、シーズン商品はオフシーズンにはセール以外ほとんど動かない、というケースです。
動かない期間にオフシーズン商品のロケを部分棚卸ししておけば、本番の棚卸し日には「その後の入出荷履歴と突き合わせて検証するだけ」で済みます。棚卸し日に実際に数えるのは、日常的に出荷がかかるロケだけでいい。棚卸しの山が、劇的に小さくなります。
エクセル・目視の在庫管理に限界を感じたら
次のうち2つ以上当てはまるなら、やり方を変えるタイミングかもしれません。
- 棚卸しのたびに出荷を1日以上止めている
- 帳簿と実在庫の差異が毎回2桁以上出る
- 商品を探す時間が日常的に発生している
- 在庫データの更新が特定の人にしかできない
- モール・カートの在庫数と倉庫の実在庫が常にズレている
これらは根性や注意力の問題ではなく、仕組みの問題です。バーコードとロケーション管理を導入し、入荷から出荷までの動きがすべて記録される状態を作ると、在庫のズレは「起きたらすぐ分かる」ものに変わります。
まとめ:棚卸しは「儀式」から「日常」へ
棚卸しがしんどいのは、一年分のツケを一度に払おうとするからです。部分棚卸し(循環棚卸し)で日常業務に溶かしてしまえば、気が重い儀式はただの確認作業になります。
ゼータロジには、ロケ単位で実施できる部分棚卸し機能が標準搭載されています。引当がかかっていないロケを選んで、出荷を止めずに棚卸しを進められます。ハンディターミナルやスマホでのバーコード実査にも対応しています。
月額固定36,000円ですべての機能が使え、いまなら1ヶ月無料でお試しいただけます。「うちの倉庫でもできそうか聞いてみたい」というだけでも、お気軽にご相談ください。
よくある質問
Q. 棚卸しはいつ・どのくらいの頻度でやるべきですか?
A. 決算期末の実地棚卸しは必須ですが、それとは別に月次〜日次で部分棚卸しを回すのがおすすめです。頻度が上がるほど1回あたりの負担は小さくなり、在庫精度は上がります。
Q. 出荷を完全に止めずに棚卸しはできますか?
A. できます。出荷予定(引当)がかかっていないロケーションを選んで数える部分棚卸しなら、出荷作業と並行して進められます。本記事の「部分棚卸し」の章をご覧ください。
Q. システムを入れないと棚卸しの効率化は無理ですか?
A. 棚番の整備とExcelでのバーコードシール自作など、システムなしでもできる改善はあります(参考:棚番とバーコードシールの作り方)。ただし「出荷しながらの部分棚卸し」には引当状態の管理が必要なので、WMSがあると格段に楽になります。
