ゼータロジをお使いのお客様を訪問した際に、とても興味深いピッキング方法をされていることを知りました。
倉庫の形が不利な条件になっているのに、それを逆に活かしてしまっている。今回はその事例をご紹介します。
ビル一棟の倉庫、という条件
その現場は、ビル一棟を使って在庫を保管されています。1フロアあたりの面積は限られているため、階層に分けて保管する形です。
ピッキング作業は、動線が平面に近いほど効率が上がります。フロアを移動する必要がなく、歩くだけで完結するからです。
逆に縦に長い倉庫は、条件としては不利です。エレベーターや階段での上下移動が発生し、待ち時間も生まれます。1件のピッキングで3フロアを回るとなると、移動だけでかなりの時間を使います。
各階にスタッフを配置する
このお客様が採られていた方法は、次のようなものでした。
- 1階から5階まで、各フロアにスタッフを配置する
- ピッキングリストごとに、まず5階のスタッフが自分の階の商品を集める
- 集め終わったら、かごを4階へ下ろす
- 4階のスタッフが、自分の階の商品を集めて3階へ下ろす
- これを繰り返し、1階まで降りてきた時点でピッキング完了
作業者は自分のフロアから動きません。動くのは、かごだけです。
お聞きしたとき、思わず「人間コンベアだ」と口に出してしまいました。上下移動という不利な条件を、そのまま流れ作業の動線に変えてしまっているわけです。
なぜ、この方法が成立するのか
いくつかの条件が噛み合っています。
棚番の並び順が、そのまま作業順になる
ゼータロジのピッキングリストは棚番の昇順で出力されます。棚番の先頭に階を入れておけば、リストは自動的にフロア単位でまとまります。
階の番号を上階から振るか下階から振るかで、かごが降りる順にも上がる順にも設計できます。棚番の設計が、そのまま作業設計になっているということです。
待ち時間が発生しない
複数のオーダーが同時に流れていれば、各階のスタッフは常に何かしらの作業をしています。5階が次のかごを処理している間に、4階は前のかごを処理している。工場の流れ作業と同じ考え方です。
フロアごとの習熟が進む
担当フロアが固定されるため、その階の商品と棚の配置に詳しくなります。全フロアを覚える必要がありません。
この方法の弱点
もちろん、いいことばかりではありません。
最大の弱点は、1つのオーダーに対する責任が分散することです。5人で1件を仕上げるため、ピッキングミスがあっても誰の工程で起きたのかが分かりにくくなります。
各階の担当者が、それぞれ自分の担当分に責任を持って作業することが前提になります。
この点を補うのが、バーコード検品です。各階でスキャンしながら集めれば、その階の担当分が正しいかどうかがその場で確定します。責任の所在があいまいになる部分を、記録で補うという考え方です。
ゼータロジは複数台のハンディターミナルでの同時作業に対応しており、スキャン実績はリアルタイムに反映されます。5階の担当者がスキャンした結果を、1階で確認することもできます。
導入を検討するときの条件
- 各フロアに人を置ける出荷量があるか……オーダーが途切れると、待ち時間だけが発生します
- フロア間でかごを渡す手段があるか……エレベーター、リフト、階段の動線
- 棚番がフロア単位でまとまっているか……番号の先頭に階を入れておく必要があります
- 各工程で検品できるか……責任分散を補うために重要です
ピッキング方法は、ひとつではありません
取扱商品、在庫の持ち方、倉庫の物理的な形。条件が変われば、最適なピッキング方法も変わります。
- 1件ずつ集めるシングルピッキング
- 複数注文をまとめて集めてから仕分けるグロス(トータル)ピッキング
- エリアを分担するゾーンピッキング(今回の事例はこの一種です)
ゼータロジはフリーロケーション管理のもとで、これらの方法を組み合わせて試していただけます。出力順の指定やリストの種類を変えるだけなので、大がかりな設定変更は必要ありません。
倉庫の条件が不利だと感じている場合でも、動線の設計しだいで見え方が変わることがあります。今回の事例は、それをよく研究された結果だと感じました。
ピッキング・出荷について、もっと詳しく
グロス/得意先別/独自のハイブリッド納品書という3種類のリスト、出力順の設計、配送伝票との並び順を揃えてテレコ出荷を防ぐ仕組みまでまとめています。
