商品は合っているのに、届け先が入れ替わってしまう。出荷現場で「テレコ出荷」と呼ばれるミスです。
バーコード検品を導入して商品の取り違えがなくなった現場でも、このミスだけは残ることがあります。理由は単純で、送り状を貼る作業だけが目視のまま残っているからです。
この記事では、テレコ出荷が起きる仕組みと、現場で実際に効果のある防ぎ方をご説明します。
テレコ出荷とは
Aさん宛ての箱にBさんの送り状を貼り、Bさん宛ての箱にAさんの送り状を貼ってしまう。この入れ違いをテレコ出荷といいます。
「テレコ」は関西で使われる言葉で、互い違い・あべこべという意味です。物流や放送の現場で古くから使われてきました。
特徴は、必ず2件セットで発生することです。1件のクレームが入った時点で、もう1件も同じ状態になっていると考えて動く必要があります。
単なる誤出荷より、影響が大きい
商品を間違えただけであれば、交換すれば済みます。しかしテレコ出荷は、それ以上の問題を含んでいます。
- 個人情報が他人に渡る……送り状には氏名・住所・電話番号が印字されています。他のお客様の情報が第三者の手元に届いたことになります
- 回収に手間がかかる……2件それぞれに連絡し、返送を依頼し、正しい商品を再送する。送料も2件分の往復が発生します
- 相手が気づかない場合がある……注文品より価値の高いものが届いた場合、連絡が来ないことがあります。在庫と帳簿のずれとして後から表面化します
- 信用への影響が大きい……「他人の荷物が届いた」という体験は、レビューに書かれやすい種類の出来事です
なぜ起きるのか
出荷作業の流れを分解すると、原因の位置がはっきりします。
- ピッキングリストを見て商品を集める
- 出荷検品でバーコードを照合する ← ここは機械が判定
- 梱包する
- 送り状を貼る ← ここだけ人が判定
2の工程で商品の精度は上がりました。ところが4の工程は、印字された宛名を目で読んで、正しい箱に貼るという作業のままです。
同じ作業台で複数の注文を並行して扱っていると、この工程で入れ違いが起こります。作業が速い人ほど、並行処理の件数が増えて発生しやすくなるという性質もあります。
起きやすい条件
- 同じサイズ・同じ形状の箱が並ぶ(アパレル、化粧品、サプリメントなど)
- 1件あたりの点数が少なく、梱包が短時間で終わる
- 繁忙期で、作業台に複数件分が滞留している
- 送り状をまとめて印刷し、あとから貼る運用になっている
- ピッキングリストと送り状の並び順が違う
最後の条件は見落とされがちです。リストは棚番順、送り状は注文番号順、というように並びが噛み合っていないと、突き合わせるたびに探す動作が入り、そこで取り違えが起こります。
防ぐ方法
1.送り状のバーコードをスキャンして照合する
もっとも確実な方法です。送り状には配送会社の伝票番号がバーコードで印字されています。これを商品と同じようにスキャンして、いま作業している注文と一致するかを機械に判定させます。
手順としては、送り状発行システムから発送情報を取り出し、WMS側へ取り込みます。すると出荷検品の画面に「送り状バーコード」の項目が現れ、スキャンによる照合ができるようになります。
貼る前にスキャンしても、貼ってからスキャンしても構いません。いま手元にある箱と送り状の組み合わせが正しいかどうかが、その場で分かります。
新しい機器を買い足す必要はありません。すでに商品検品で使っているスキャン工程に、1回スキャンが増えるだけです。
2.1件を完結させてから、次に取りかかる
作業台の上に、常に1件分だけを置くというルールです。梱包・送り状貼付・払い出しまで終えてから次の注文に移ります。
単純ですが効果は確実です。ただし繁忙期には守られにくいという弱点があります。
3.作業スペースを物理的に区切る
並行して作業せざるを得ない場合は、作業台をトレーやマットで区切り、1区画1注文とします。箱・納品書・送り状を同じ区画から出さないようにするだけで、混ざる余地が減ります。
4.ピッキングリストと送り状の並び順を揃える
リストの出力順と、送り状の発行順を一致させておきます。突き合わせる作業がなくなり、上から順に処理していけばよい状態になります。
納品書とピッキングリストが一体になった形式を使えば、そもそも紙を突き合わせる工程自体を減らせます。
現場での会話から
実際の倉庫でどんなやり取りが交わされるのか、よくある場面を再現してみます。
パートスタッフ「大変です、違う商品が届いたとお客様からクレームが入ったそうです」
リーダー「まったく違う商品だったのか、それともサイズや色の違いなのか、確認してもらえる?」
パートスタッフ「……確認しました。まったく違う商品だそうです。置物を注文したのに、別の置物が届いたと」
リーダー「それなら、送り状の貼り間違いかもしれないわね」
アルバイトスタッフ「テレコ出荷ですね。だとすると、もう1件クレームが来るはずです。出荷検品まではバーコードで確認できても、送り状を貼るところは目視ですから」
パートスタッフ「なんとかならないんですか」
アルバイトスタッフ「なりますよ。送り状にもバーコードが付いていますから、商品と同じようにスキャンしてチェックすれば防げます。いま使っている送り状発行システムから発送情報を取り出して、WMSに取り込むだけです」
リーダー「新しい機械を買わなくていいのね。それなら稟議もいらないわ」
パートスタッフ「スキャンが1回増えるだけ、ということですね」
後日、もう1件のお客様からは連絡がありませんでした。注文したものより価値の高いものが届いた場合、クレームにならないことがあります。しかし在庫の数字は合わなくなりますし、届いた方に手間をかけたことに変わりはありません。
まとめ
- テレコ出荷は必ず2件セットで発生する
- 原因は、送り状の貼付だけが目視のまま残っていること
- 送り状のバーコードをスキャン照合すれば、機械の判定に置き換えられる
- 並び順を揃える、1件ずつ完結させるといった運用の工夫も併用する
誤出荷対策は「気をつける」では続きません。仕組みで止められる工程がどこまで残っているかを、一度洗い出してみてください。
ピッキング・出荷について、もっと詳しく
グロス/得意先別/独自のハイブリッド納品書という3種類のリスト、出力順の設計、配送伝票との並び順を揃えてテレコ出荷を防ぐ仕組みまでまとめています。
